高林悟建築設計事務所  045-983-5752

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医院設計専用のホームページ
 
ドクターのイニシャル
「F」を建物自身でデザイン、患者にとって医院は「灯台」だというイメージでデザインした建物です.






高林悟建築設計事務所は、医院設計、歯科医院設計、住宅設計、及び、医院・住宅の改修設計を主に行う一級建築士事務所です。




 高林悟建築設計事務所




 〒226-0026 神奈川県横浜市緑区長津田町3016-1-1612
        tel 045-983-5752




  問い合わせ、連絡先  

TEL: 045-983-5752
Eメール: taka-design60@yc4.so-net.ne.jp




目 次

医院設計業務範囲・業務エリア
ご挨拶・プロフィール
序.医院設計で思うこと
医院設計の留意点の一部紹介等
A.実例での当事務所と他社設計との設計比較
某医院の仕事を、S建設会社設計図と当事務所の設計との比較もしながら説明
B.設計図面による解説コーナー
医院の当事務所設計の設計図で設計主旨等を楽しく?解説します。
C.私の医院設計、改修設計の考え方
医院設計、改修設計に携わってきて、私の思うことをレポートしました。
D.その他資料コーナー
a.当事務所の仕事への取り組み方  b.医院設計の経験他
c.当事務所の特徴           d.設計料に関して
e.参考資料1:医院建物工事費    f.参考資料2:医院新築の場合の一般的な工程表
g.参考資料3:医院設計、工事を依頼する先は?





医院設計業務範囲 医院設計、病院設計(中小規模)、医院改修設計、病院改修設計
医院・病院テナント内装設計、医院併用住宅
業務エリア 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県 他、主に首都圏
  




 ご挨拶・プロフィール 




 ・1948年 山口県生まれ
 ・1972年 芝浦工業大学建築家 卒業
 ・同 年 大成建設株式会社 入社
 ・1988年 大成建設株式会社 退社
 ・同 年 高林悟建築設計事務所 開設

※詳しい経歴は、医院・病院・住宅コンサルティングホームページの「h.経歴、業務経歴」をご覧ください。


このホームページは、高林悟建築設計事務所の医院設計専用のホームページです。昔と違い、医院、病院は開業すれば右肩上がりに何とか経営できる時代ではなくなり、少子化、健康保険の問題、情報社会、地域社会の希薄、交通事情の発達等々により医院・病院経営は難しくなりました。単に、すばらしい医院・病院建築を建てればよい時代ではなく患者が選ぶ時代に相応しい医院・病院を目指し、その一つの一環として、どのような建物を建てればよいかを考える時代になりました。ドクターと一緒に、ドクターにとっての医院・病院の良い姿を一緒に求め、探しながら、医院設計という業務を遂行したいと思っております。

又、最近、特に医院・病院建築全般に対するコンサルティングの必要性を痛感しております。この度、そのための業務に積極的に挑戦していきたいとの思いから、「医院・病院・住宅建築コンサルティング ホームページ」を立ち上げましたので、御興味があればご覧ください。







 序.医院設計で思うこと 
医院設計においては診療方法から医院を考えることも大事ですが、医院を建てる、あるいは、改修することにより、先生方、職員の方達がより使いやすく医療行為に専念でき、その上、患者サイドにも良いイメージを与え、経営的にも診療的にもより良くなるのが条件です。
医院設計、あるいは、医院改修設計では独自の留意点があります。新築、建直し、小規模改修、大規模改修、医院専用ビル、医院併用住宅、テナント開業、独立開業、世代交代による改修、等々、そのケースにより留意点も同じではありません。しかも、物件ごとに異なるし、同じ科目の医院の同じ問題でも物件ごとにその重要度は異なります。
病院と違いドクターの考え方や諸々の状況が、そのまま出やすい、まだ出すべきと思う医院は、医院設計に際してその物件の特徴を掴み留意点の優先順位を判断して、その結果を建物に反映させることが重要です。


例えば・・・・
医院改修では、工事のための医院休みを極力少なくすることを考えるのは当然です。敷地に空きが十分あれば、そこに工事中は仮設建物、レンタルユニットハウス等で診療をすることができますが、都心等で空地がない場合、例えば第一期工事で半分程度を改修、その間は残り半分程度で診療を行い、第二期工事でそれを入れ替えるという駅構内で時々見かける工事方法をとることになります。これが、文字で書くようには単純にはできず相当考えて医院改修設計をする必要があります。この場合は、最適な医院改修、最適なコスト配慮の医院改修にするのではなく、工事による医院休みの度合いとのバランスを考えながら最適解を探すことになります。又、電気系統、設備系統の処置も重要です。
先のレンタルユニットハウス等の建物を使うにしても長期工事期間の場合、外から見て余りに簡易的に見えてしまうと患者イメージが良くない場合も考えられます。その場合は、プランによっては既存の医院玄関を使用し廊下でその建物に誘導することも考えられます。
このように、医院は特に個々の物件ごとに最適解を求めることが重要です。




 医院設計をする場合の留意点とはどのようなものがあるのでしょう ? 



例えば・・・・

      医院内部を土足にするか上履きにするか?

      上履きにした場合、車いす患者をどう考えるか?

      自力で上がれるように設計するか、そうすると長いスロープが室内に必要になり狭い医院では現実的に難しい。それでは、医院土間まで、あるいは、玄関先まで来てもらいブザー等で知らせてもらい職員が介助するか、又、事前に電話をもらい準備する方法もある。どの方法を取るかにより設計も少し変わる。







段差21.5cmを2.4m長さのスロープで上がる。勾配は約1/11   公的な推奨値は、1/12以下です。スロープの長さによりますが経験的には1/12勾配は良い数値と思います

      救急患者を受け入れるか?

      受け入れるのであれば、ストレッチャーを室内に入れるか?、その場合、ストレッチャーは診察室まで考えるか、レントゲ ン室まで考えるか。それにより、廊下経路や廊下の幅を考慮する必要がある。

      例えば科目による違いでは、婦人科ではレントゲンは余り必要としないが、診察で使用するかどうか、又、使用しないでも、一般の健康診断を受け付けるためにレントゲンを設けるかどうか。

      小児科であれば、待合室に隔離待合室を考慮するか。

      整形外科ではリハビリ室をどの程度考えるか。

      産科の場合、母体保護法に対してどのように考えるか。

      耳鼻咽喉科は一般的に待合室で待つ患者数が多く待合室に置くイスは何脚程度を考えるか。

      待合室の最適解は、
広すぎれば閑散として見えてしまい新しい患者にイメージが良くないかも知れないし、狭すぎれば病人を立たせてしまう。待合室がいつも混んでいれば外から待合室が見えることは流行っている医院というイメージを与えるが、逆に広い待合室で閑散としているのが外からよく見えれば良いイメージを与えないかも知れない。そうかといって、全く見えない待合室ではよく知っている、あるいは、紹介された場合は別だが、初めて入る患者には抵抗感がある。ではどうするか。先生の考え、廻りの状況等を考えながら設計する事になる。
医院が過剰になりつつある現在では、患者の心理にも配慮する必要があると思います。
      待合室に良く置かれる水飲み場も子供が使ってしまうことを考えると常に気を付け管理するのでなければ、水が床にこぼれ散ったりして置かない方が良いと思います。

      ドクター、看護婦、職員、患者の動線を考えて設計するのは医院設計では当然のことです。そのため、カルテの動きや、カルテの電子化、看護婦の対応等もドクターに聞きプランに反映させることが必要です。








平面的に各動線がなるべく交差しないように、特に患者動線とその他の動線が交差しないように検討し、上記の資料(実際は色分け動線図面)を作成しドクターに説明します。


      職員が少ない場合は特に動線は最小距離になることを考えます。例えば、受付の裏動線が診察室にすぐ繋がっていれば、職員、あるいは、看護婦の移動距離が短くなり、職員等の労力の軽減はもちろん、患者に対してもよりスピーディな対応が可能です。その事によりできた余裕は患者に対して丁寧な対応ができる事に繋がります。













カルテ、受付、看護婦の動きを考えると、平面的に可能であれば一般的にはこの動線がベストと思っています。電子カルテが導入されれば当然変わってきます。


      余り良くない表現ですが、勤務時間中は職員の方によく働いて欲しいし、患者に対しても丁寧に応対して欲しいものです。診察室と受付が近いと音や話し声で受付の様子が分かり、その判断ができ改善していけます。このような考え方もあります。職員の患者に対する応対も大事な要素です。

      診察室は開き扉でなく自閉式の引き戸にするのであれば、引き込み幅をプラン的に確保する必要があります。










この自閉式引き戸は戸袋に収まるタイプです。


       先生によっては楽な診察スタイルが決まっていて、先生に対して左側、あるいは、右側に患者が座る方が良い場合があります。その場合は机の向きに注意が必要です。その机の向きを確保するためにプランが影響する場合もあります。
 深刻な病気を告知する必要のある医院は、例えば診察室でするようであれば声が漏れないように考える必要があります。
      内視鏡検査をする場合、たまに悲鳴に近い声を出す患者のために待合室に声が極力届かないように配慮することも必要です。予算が合えば天井まで伸ばした壁の中に遮音材を入れることも考えます。
      内視鏡検査は医院ではほとんど上部検査のみと思いますが、下部検査も行うのであれば検査室(処置室兼用も含む)は少し変わってきます。

      レントゲンの種類、あるいは、ブッキーテーブルが電動かどうか等によりレントゲン室の広さは変わります。
      レントゲンをデジタルX線画像診断にする場合

暗室は当然不要になりレントゲンフィルムを診察室のモニターで見るためにラン回線が必要です。しかし、しばらくは他の医院で撮影したレントゲンフィルムを持ち込む患者のために診察室にシャーカステンは必要とは思いますが。そのうち、病院から患者のフィルムデータが電送される時代になると思います。


      東京都と神奈川県ではレントゲン室の鉛板の厚みはどういう訳か違います。その地域地域でレントゲン室鉛板だけではなくいろいろ調べる必要があります。

      鉄筋コンクリート壁が15cm以上の厚みがあれば一般的には鉛板は不要です。コスト的にコンクリート壁に面したところにレントゲン室を設けるのも一つのコストプランニングです。

      小水を取ることの多い医院では小水置き場をどうするか? 洗面所のかご等に置いてもらい看護婦がすぐに取りに行く方法もあれば、患者にもってきてもらう、あるいは、病院並みに検査室等の隣に便所を設け小窓を設ける、又、見えにくい小水置き場を考える等、対応はいろいろあり、その方法によってプランも微妙に違ってきます。

      男子便所、女子便所別々にするか。大きな医院では当然ですが、どの程度の規模の場合まで考えるか。職員と患者は別の便所にするか。一緒の便所だと職員が便所が汚くなっている場合にすぐ気づききれいに清掃できるメリットもあるし、・・・・

      床材はどのような材質を使用するか?
私の場合、通常、クッション性や、メンテナンス性実績、価格、耐汚れ等を考慮し、タジマ、東リの病院用に開発されたビニル床シート材を使用します。場所によっては木の無垢材を使用してみたいとは思っていますが傷や汚れ等の対応を考えるとドクターの希望がない限り使いづらいところです。高級感を出すのは病院用によく使われる抗菌のタイルカーペットが適切な材料と思います。又、地球環境を考えればリノリュームという考えもあります。但し、乾いたときに少しすべりやすいのと少し固めの材料で見た感じも硬い感じがしますが。場所によってはコルクタイルという考えもあります。

右写真はA医院のビニル床シートの床材


      医療器具は専用コンセントが必要な場合が多いのですが、その医療器具をどこに置くのか。又、たこ足配線は忙しい移動時に危険ですので、適所にコンセントを設ける配慮が必要です。
 照明計画も大事です。コストの割に雰囲気を出せます。

      歯科医院であれば床下懐は配管を考えて20cmは欲しいところです。口腔外用バキュームを設置する予定であれば20cmでは厳しくもう少し床下懐がほしいところです。
      歯科医院技工室を設ける場合はコンセントだらけです。
必要な箇所に必要なコンセントを配置する事が必要です。又、熱源がある技工室はクーラーは少し大きめにする必要があります。

                
F歯科医院技工室



※ このように書き出すと切りがありません。 ※


重要なことは、ドクターと良く打ち合わせを行い、設計者がドクターから細かなことを含めて聞き出し、疑問点を提示し、あるいは、別の提案をしながらドクターに取って満足のいく、使いやすい医院を実現することにあります。最大公約数的な考え方で、せいぜい科目による違いやレントゲン室の種類、有無程度で設計し建てることも可能ですが、やはり一般的に10年以上はその状態で使用することになる医院という仕事場ですから、そのためにかかる時間はわずかですし、かかる費用は?設計料が高い安いはあると思いますがそれなりの力のある設計士であれば損はないと思います。





 A.実例での当事務所と他社設計との設計比較 







プランが決定済みの段階でのデザインコンサルタントとして依頼されたテナント内装コンサルタントの仕事ですが、ドクターの考え方や診療方法を聞き下記の理由で全く白紙からプラン作成した方が良いと判断し、ドクターに説明し当事務所でプランを作り直しました。




 科目:内科・循環器科・呼吸器科のS建設の設計と当事務所で設計し直した設計の例




医院設計の経験のあるS建設の設計 当事務所で設計し直した図面

左の設計図は、ドクターや看護婦の動きや、医療器具の置き場を考えずに、又、部屋の空間のイメージを頭に浮かべないで設計したのだと思います。ドクター、看護婦、患者の医院内での動きなどを浮かべながら設計しないと良い設計にはなりません。一般的には10年以上はそのまま使用する建物です。間取り計画でストレスが溜まらないように、又、医療行為のための移動等に余分な時間、例え、数分の違いでも1日にすると大きな時間になります。時間的に余裕が出来ればその分、患者への丁寧な応対に時間を割けますからやはり動線等を考慮し使いやすいプランにすべきです。医院は仕事場ですから。


 S建設鰍フ設計図面を見て感じたこと・・・・
 
(1) まず感じたのは、待合室の広さ、診察治療スペースとのバランスの悪さです。又、裏動線(職員用廊下)の無駄な空間が多すぎることです。要は診察治療スペースが余りに狭すぎるのです。
(2) 患者動線は考慮されていますが、後はドクターから言われた部屋を独立した部屋として確保し外壁に面して繋いでいっただけとの感想を持ちました。職員、看護婦の動きや、ドクターの診療しやすさも考えないといけないと思います。
(3) 一番大きな事は、ドクターから伺った処置室で行う医療行為(特に上部の内視鏡検査)を考えると、この処置室では不可能です。内視鏡の置き場やアンプルケース棚、器材庫、冷蔵庫の置き場、それに、洗面器はありますが流しもないのでオートクレーブの置き場もありません。まして、女性患者が口の周りを化粧直しする場所も考慮されていません。
(4) ドクターが一日中働く場所である診察室も閉鎖的で狭すぎますし、患者にとっても閉鎖感が強すぎます。ドクターが処置室の様子を見に行くのにも大変ですし、ここに看護婦が入れば窮屈な空間で、又、看護婦が出入りするのに患者の横をすり抜けなければいけません。
(5) 点滴室に窓がない場合は心理的に相当狭く感じます。何とか閉塞感をなくす努力をすべきです。
(6) 診察室と処置室は通常一つの部屋にします。S建設の図面だと看護婦は診察室で医師の指示を聞き、患者の後にくっついて行き、ドアを閉め、又、処置室のドアを開け狭い処置室で処置をすることになります。いかにも窮屈で大変そうな作業になってしまいます。
又、このように狭い診察室、処置室に個別にエアコンを置くとサーモスタットの入り切りが激しく、空調によりすぐに熱くなり、すぐに寒くなってしまい患者にとっても良い環境ではありません。やはり、一つの部屋にしてエアコン1台を共通に使用するのが最良です。
(7) 職員用の便所の扉が、待合室イスに座った患者から真正面に見えるのはイージーミスです。    



 上記問題点を踏まえ

  当事務所で考えたことは・・・・


便所の扉もちょっとデザイン
(a) 診察室、特に処置室を医療行為を行うのに十分な広さに確保することと同じ部屋にすることです。そのため、無駄な空間をなくすことを検討しました。  
@ 廊下の部分をなるべくなくす。そのため受付等の部屋の中に組み込む。

A 職員用の玄関ホールは一般的にこの規模であれば不要です。あれば好ましいのですが、患者の玄関と共用でかまわないと思います。薬会社の社員も患者用の玄関と同じで良いと思います。2テナントを考えたビルで、たまたま玄関扉が2カ所あるからと言ってそれを単に利用するのではなく1カ所閉じた方が良ければそう考える事が必要です。

B    この規模であれば、洗濯室を設けないで職員室や処置室に洗濯機を設置しても大丈夫ですし、ミニキッチン、ロッカーは職員室でも十分です。

※    それでも処置室、診察室の広さが確保できないときはドクターから希望された待合室の椅子の数を暫定的な丸椅子で確保してでも診察室、処置室の広さは確保した方が良いと思っていました。


診察室から処置室を見る(開業前)   竣工後の処置室



(b) 外観はきれいな建物で、開放廊下側の窓は床から天井まであるとても明るい気分の良い窓側ですので、その部分は全て患者のスペース(待合室)で考えました。それと共に、病院のように味気ない待合室のイスの並べ方ではなく工夫したいところです。病院は広いから良いのですが狭い医院に単純な並べ方は味気ないものです。






(c) 待合室がコンパクトな形状になりましたが、その分、患者が少ない時間帯でも閑散とした感じは受けません。又、平面的に少し奥行きのない待合室ですので、右の写真のように受付の上部は開放し、待合室の背壁部分も上部を開け、見た感じ広く感じるように設計してあります。


(d) 風除室設置をどうするかは難しいところです。ロータリーに面した部分なのでおそらく東風が吹くときには必要に思いました。少し気温の低い地域ですので特に冬。但し、風除室が不可能であればガラスで屋外廊下手すり側に風防を設置することも考えられますので開業後に様子を見て考えることにしました。




医院建築の経験のある建設会社や、医院内装専門業者に依頼すれば設計料は表面的にはかかりません。(実際には数パーセントを工事金額の中に組み込んでありますが)

当設計事務所が関与した場合、設計料、あるいは、コンサルタント料はかかりますが、お役にたてると思います。
                                       









 B.設計図面による解説コーナー 

医院建築の設計は、動線を考慮するなど平面計画がとても重要です。当事務所の設計図面で医院設計主旨を解説したコーナーです。

□ O内科医院(内科・皮膚科)






少し郊外になる場所の2階は住宅の医院併用住宅。往診を考えた街医者を目指すドクターの医院。全体的にシンプルな形状にし、道路側の見える面に曲面の壁手摺や植栽を設け、コスト配慮しながらイメージを造りました。内部は非常にシンプルです。処置室は希望で少し大きめに広さを取っています。医院は夜の姿も大事です。待合室前に小さなサンルーム的なガラス張りスペースを設け夜の暖かい光を夜景として考えました。アプローチ横はテラス前の大きなガラス窓の明かりで夜もほんのり明るい雰囲気をイメージしました。自転車での患者が多い場所なので自転車置き場を確保しています。
その他に
(1)道路側より見たときに、医院ポ−チレベルが高すぎるとマイナス効果になるので、なるべく建物を下げた計画。
(2)長四角な建物なのでメリハリをつけるため、1階、2階には意識的に凹凸を付ける。
(3)医院を極力大きく見せるため、1階の道路側は全て医院とする。
(4)待合室より診察室まで距離がありプライバシ−は保たれるので、診察室及び処置室の入り口は扉ではなくカ−テンとする。
(5)受付より駐車場、及び、体の不自由な患者の場合に視認できるように考慮する。
(6)アレルギー患者も診察し吸入治療をするとのことで処置室より患者が外を見ることができるようにする。
(7)近くにさしあたり適当な薬局ないので、半分程度院内薬局が可能なように配慮。
(8)レントゲン室は希望でほんの少し広めに設計。




□ T小児科医院(小児科)





郊外の小児科医院です。奥側に住宅を計画しました。郊外なので駐車場は出来るかぎり多く確保しました。小児科で隔離待合室があります。診察室は処置室兼用でレントゲン室には診察室から入るようになっています。とにかく廊下は不要と言うことで計画しました。



□ S整形外科医院



すでに、開業されていて移転新築の1階が上図、2階が全面リハビリ室、3階が院長、職員室の3階建て医院ビル。500人/日の患者を処置できる動線重視の医院としたいとの要望があるました。リハビリ療法士15人の大きな整形外科医院。しかし、細長いのには考え込んでしまいました。普通に設計すると細長い奥深い広めの廊下に部屋が連続して取り付くプランになってしまいます。開業されておられたドクターなので要望は明確で助かりましたが、待合室の窮屈さとレントゲンを撮影する事の多い整形ですので診察室から数歩のところに操作盤を設置して欲しいとの要望。それに、患者人数の多さからいっても受付−診察室−診察室から覗ける処置室は譲れないつながりです。
それで思いついたのが受付を45度振り、待合室を広く確保すると共に、受付中の患者と廊下を行き来する患者の動線をうまく交差しないように処理し診察室−レントゲン室の繋がりを確保したプランです。                                       
又、主階段及びエレベ−タ−を45度振りとしたことで、待合室を広くかつ受付のカウンタ−長さを確保し、又、それを外観デザインとしました。レントゲンフィルムの保管場所はいつも悩みの種ですがコルセットや松葉杖の保管で広めの物入れを設けました。


その他
(1)エレベ−タ−は乗用油圧エレベ−タ−11人乗りとし、車椅子が何とか篭内で回転できる最小の大きさを確保。
(2)1階男子便所は車椅子対応を考慮する。
(3)ストレッチャ−は玄関から診察室まで。救急患者の処置は処置室で行う。
(4)車椅子の患者は数人/日にくる。
(5)患者が必ずドクタ−の左側にくるようにする事。(左診察)、又、診察机の左側に指令塔の役目の看護婦が常時付くため小机を設置。



□ O産婦人科医院(産婦人科)



PC版構法という制約がありましたのでプランはその制約wo
大きく受けています。1階に医院部の患者関係施設、2階に残りの医院部と住宅を配置する基本計画。1階中央に明確な広い廊下を設け、看護婦が少人数でも対応出来るようにナ−スステイションを建物の中心に設置しました。余り効果のない中庭形式はとらず、病室より樹木のある広い南庭を眺めるようにする。それ以外に診察室−手術室を結ぶドクター用の裏動線を設けました。そこは内診室からストレッチャ−で手術室まで患者を運べるようにもしてあります。診察室と手術室が近いと良いのですが、看護婦を考えたナースステーションと診察室の関係、新生児室を近親者がガラス越しに見るためにも余り奥に入った位置ではなく待合室に近く、なおかつ、ナースステーションの前を通らなければいけない位置に配置するとどうしても手術室が奥の方になってしまいました。見知らぬ人の侵入も防ぐためのナースステーションを境に病室のある患者スペースと不特定多数が行き来する待合室等の機能に分けています。
その他
(1)建物玄関部は前面道路からの効果を考慮し、なるべく間口を広くとる。
(2)前面道路と裏道路を連絡する必要は考えられず、それより表と裏側を分離し表側は患者用、裏側は自宅や職員の出入り口、及び、サービスヤードとする。
(3)新生児室を母親が常に覗けるようにする。
(4)患者と職員の動線を極力分離する。



□ Y内科医院(健康診断、人間ドッグ主なクリニック)



健康診断、人間ドッグが主な特殊なクリニックです。やはりPC版構法の制約のためプラン制約が相当あります。人間ドッグ対応にしては小規模ですが、CT、TVレントゲンもありますのでスペースを取られます。予約により一度期に多くの患者は入りませんが、患者の更衣室も本当は必要ですが病室をうまく利用したり、又、検診種類等によっては真ん中の待合室の簡単な間仕切りを一時的に撤去して対処することを考慮したプランです。



□ T耳鼻咽喉科医院




細長い敷地に3階建ての医院併用住宅(2世帯住宅)の建直しを計画したプランです。1階には耳鼻咽喉科(ドクター2人)+皮膚科(ドクター1人)と親住戸を設けています。大先生がここで医院を開業されていてシュロの木が2本ありました。古い町中の医院ですのでなじみの患者がいることを考えて建物の前に同じシュロの木を計画しました。どうしても前面は駐車場になりますので、自家用車の車路を医院玄関アプローチを兼ね、それに建物の南側を自家用車駐車所場にしたことで南側を開け、2階住戸及び奥側の親住戸の45度振った窓のある居間の日当たりを確保したプランです。



□ S皮膚科医院



規模の大きい皮膚科医院です。女性ドクターということ、女性の患者が多いので平面プランで見た感じよりも、低いカウンター、大きなガラス窓等で明るい開放的な待合室とし少し曲線を多く使いました。開業時間前から2,3人戸口で待つ患者がいるので玄関外の小さな明るいくもりガラスのホールに丸イスを朝だけ出しておく配慮をイメージしています。



□ M歯科医院



課題は、メイン道路からの9m長さの路地状敷地を通過して医院に入る動線処理でした。近い将来若先生が眼科を開業、受付は同じ受付で診療費の計算をするのでその配慮が必要でした。歯科、眼科は少し形態が違うので思い切って建物を離し、間に築山を築きこぎれいな庭を挟み、その庭を長めながら長い廊下を渡り眼科医院に入ることを考えました。深刻な状態の患者は眼科の患者には余りいませんのでこのような考えをもちました。歯科は個室(3室)が主体の歯科医院です。玄関は道路近くに設けることも考えましたが、やはり車1台はいるようにして置いた方が良いということ、受付までの距離が長くなるとの判断でその分下げて玄関を設置しています。3階建ての建物ですが玄関部分は平屋に急勾配の切り妻屋根をのせ外へのアピールを考慮しました。



□ T歯科医院



コストを考慮してシンプルな形状にしましたが、ドクターの強い曲線好みに対して、医院玄関の平屋部分の庇を曲面に、又、医院ポーチ、住宅玄関ポーチはコンクリートの丸柱としました。2階建てですが2階が住宅のため音を考慮し、1階は鉄筋コンクリート造、2階は木造の混構造です。レントゲンは矯正用レントゲンですので少し部屋が多きめです。場所が郊外の住宅地であり、小さなお子さんのためにも1階に遊べる部屋と庭を一対で設けました。医院玄関ポーチの奥にメインツリー(ヒメシャラ)を植えています。玄関、待合室、受付部分は平屋ですので、いつか、2階まで樹木が伸びて良い感じになると思います。郊外住宅地とはいえ余り自宅住宅が目立つ歯科医院もどうかと思い、前側に平屋の建物部分(玄関、待合、受付)を設置し、感覚的に通りからは住宅が目立たないように配慮してあります。その屋上は広いベランダです。どうしても曲面壁の建物にしたいとのドクターの希望でしたがコスト的に不可能なので、ドクターのために現実不可能(予算的に)という条件で一度曲面壁のプランを作成しました。それが下図です。


大きな曲面壁と小さな曲面壁をおもしろく組み合わせた曲面壁を多用したプランです。現実には採用できないプランなので全面曲面壁にしようと思いましたが、診察室、技工室はどうしても無駄が余りに多くなり直線壁になりました。しかし、外から見える部分は曲面壁に設計し私自身も楽しんだプランニングです。現実に採用されませんが、このままでももちろん構造的にも技術的にも、2階の住宅プランも問題ない設計です。予算があえばこのまま建築可能です。










 C.私の医院設計、改修設計の考え方 
開業すれば何とかなる時代は終わりました。それに諸条件を考慮すると開業はまだ増えていくと思います。又、高齢化、少子化の影響もあり医療行政も考え方が短期間で変わるようになってきました。そのような厳しい時代に簡単には 「差別化することが必要です」 と言われますが、具体的にはなかなかイメージできません。往診を重視するとかドクターサイドでも考えられていると思いますが、建築サイド側からも提案できることがあると思います。差別化というと最大公約数的な提案は余り意味をなしません。又、単純にアメニティを重視すれば良いというものでもありません。患者に必要以上におもねることは逆効果ですが、信頼を損なわない程度に患者サイドのことを考慮した医院を目指すことは重要と思います。そのために、今まで以上に建築サイドから医院という建物に貢献できることが増えているように思います。
単純に間取り設計をするのではなく、個々の医院について将来明るい展望が持てる医院を、ドクターは医療というサイドから、私は建築サイドから提案し、ドクターの考え方や状況を踏まえて協同で医院を造り上げていければと思っております。
医院は交通の便利さや情報の豊富さにより今後ともより選ばれる時代になると思います。医院はドクターのイメージ(診察技術やイメージ)が当然一番重要ですが。



例えば建築サイドから考えますと・・・・
(1) ドクターや職員の診察や対応等は当然として、建物としてもやはり患者サイドに良いイメージを持ってもらいリピーターになってもらうことは当然ですが口コミも期待したいところです。その場合、女性に良いイメージを持ってもらうことが重要です。そのような視点で考えると待合室の内装や便所のイメージは重要です。
だからといって、待合室をホテル並みにして、いつもコーヒーを飲めるようにするのではなく、病気を診てもらう医院としての待合室であることを逸脱しない程度のイメージに造るべきと思います。
(2) 医院の建つ場所によっては、先生の自家用車が高級車の場合は車庫に入れる、あるいは、見えにくい場所に駐車する配慮も考える必要があると思います。
(3) 産科であれば健康人です。心にゆとりがありホテルや美容院のような内装も考えられます。但し、新生児室を家族が外から覗けるとともに防犯や衛生面を考える必要があるなど当然医院としての特殊性はあります。内科は自分の治癒力では直せないときに来院するのですから不安な気持ちを持ちながら待ち、診察を受けますから建物の重要性、内装の重要性は産科に比べると相当低いと思います。しかしながら、病気の重度はまちまちですから待合室の内装は気を配るべきと思います。

(4) 最近の人の傾向も考慮する必要があります。例えば、最近はきれいなものが好まれます。余りよいこととは思いませんが抗菌商品もたくさん出回る時代ですから、好むと好まざるに関わらず清潔なイメージは大切です。だからといって、冷たい感じの建物にしてはいけないのです。
(5) レントゲン室では患者は裸に近い状態です。機械も大きく冷たく感じます。多くのレントゲン室は白色の壁が多いと思いますが、撮影に支障がない程度にもっと暖かみのある内装が良いといつも思います。床も、傷や汚れの問題もありますが木の床も考えられるのではと思っていますが実際に木の床でしたことはありません。
等々


例えば改修で大事なことは・・・・
重要なことは、改修工事中の閉院期間を極力少なくすることと、工事中の患者への安全配慮です。駅の改修をよく見かけますが同じようなものです。そのため、閉院期間が短く出来るのであれば完璧な改修を少し犠牲にすることも考える必要があると思います。今までの患者が他の医院に行きリピーターでなくなる可能性がありますから。
閉院期間を短くするための工事計画を工事会社に依頼するのではなく、設計の人間が設計段階のその何期かに分ける工事計画を考えた上での設計がとても必要です。したがって、設計者にも工事の知識(工事の段取り等の知識)が必要です。
又、表層の仕上げを解体すると思わぬことがおきます。借りた既存建物の設計図面ではコンクリート壁になっていたのが実際はブロック積みになっていたり(実際にありました)、又、その逆に既存設計図面ではブロック壁で描いてあっても実際にはコンクリート壁で、たまたま、ブロック壁と思い壊す予定の改修計画をしていた場合にコンクリート壁を壊して良いかどうかの判断を設計者がする必要があります。仮に壊さないと決めたときはプランを変更する必要があります。そのような事に対して対処できる能力が設計者には必要です。

一般的に鉄筋コンクリート造のコンクリート壁は構造的に余裕があっても壊さない方が良いと思います。仮に出入り口幅程度壊さざるを得ない場合にも極力最小幅開口とし、他の場所のコンクリート壁との構造バランスを考慮しながら強度補強をし、前と同じような強度をもつ壁にするなどの配慮が必要です。やはりなるべく構造設計事務所に検討を依頼すべきと思います。

相当な開口を開けても一般的にはすぐに建物が壊れるわけではありませんが、クラックが入ったり、地震時に一部破壊の可能性もあります。安易に躯体を壊すことは避けるようにしたいです。

診察中の工事の音や、振動は良く先生方からクレームがつきます。休みの日や時間外にそのような工事をすればよいのですが、いろいろな職種が複雑に絡み合う建築工事は段取りがとても重要であり、そのような対応をすると段取りが崩れ工事期間の大幅な延長になりそれが工事費に影響してしまいます。したがって、その場の状況等で判断することになります。特に、開業中の改修工事は工事による誤った停電は特に気を付ける必要がありますので、建築会社もいい加減なところを避けた方が良いと思います。


例えば世代交代を含む改修に大事なことは・・・・
大先生(親先生)は当然ながら、いままできちんと医院を経営されてきたので、科目が若先生と違わない場合は特にいままでの延長で医院内装を変える程度の予算がかからない方法を考えられる場合が多いと思います。それに反して若先生(子先生)は、仮に同じ科目としても大学教育も、当然、親とは世代が違うので相当違う教育を受け診察方法も少し異なる場合が多く、そのための医院改修である上に、改修するのであればこの際なるべく大幅にと考えがちです。その場合は、当然、間取り含めた大きな改修になり費用も相当かかります。大先生も、若先生もそれなりの正しい考え方に基づいていますが親子間で調整する必要がありますが第三者的な立場で設計者がはいるとスムーズに行く場合があります。
基本は、若先生が今後主体となり医院経営をスムーズに行える環境を諸々の条件をクリアしながら造ることが重要です。

まず、若先生が医院の主体となる5年から10年ぐらいまでは内装を変える程度で改修し、その後、若先生がそれまでの開業状態を考慮にいれ大幅な医院改修も検討するのが一般的には適切な考え方のように思いますが、そうとも言い切れないところに難しさがあります。

例えば、地方の場合は一般的に先生親子と地域とは強い面識があり親先生の患者は若先生へと引き継がれていくと考えられますが、都会的な場所では医院過剰時代でもあり、地域性が薄く、交通の便、情報量の多い時代の患者が医院を選ぶ時代には、大先生の患者が若先生の患者に移行することは考えにくい場合が多いと思います。若先生は、若先生で自分の患者を増やす努力が必要になると思いますが、そう考えると、このような場合の医院改修は若先生が患者を増やしやすいような改修、それが大幅な改修であれ、そのような改修を目標にする方が良いと判断されます。もちろん、予算は大事です。この時代にはこの時代の投資額があります。


コンサルタントの必要性・・・・
医院は病院より特殊性が強く、又、立地場所や先生個人の考え方や、家族等を含む個人的な要素も強く影響される建物です。したがって、その医院、医院で例え科目が同じでも、その先生にとってよりよい医院の解答は相当違ってくると思います。そのような特殊な要素を考慮し立ち入れ、先生方と真摯に打ち合わせできる信頼関係が結べるコンサルタントが必要な時代になってきています。病院にはアメリカほどは進んでいなくてもそのようなコンサルタントは存在しますが医院程度の小規模なものにはありません。

医院において今まで先生を通して接触したコンサルタントは、薬や医療器具の販売会社がサービスでコンサルティングをしていたり、自分の会社の利益を重視過ぎる便利屋的なコンサルタントがほとんどのように思います。その場合、最大公約数的な手法のコンサルをするので大きくは踏み外す事はありませんが、各医院、医院にとってよりよいコンサルトは言い難いと思います。今は選ばれる時代、それもより、その傾向が強くなると思われる時代にそれでは競争力がありません。かといって、特殊だ特殊だといって間違ったコンサルをすれば、最大公約数的な手法の結果よりは悪くなってしまいます。そこが難しいところです。
例えば実例ですが、医院開業する場合のその場所での推定患者数は医療商社等でソフトで算出できますが、ある科目の医院の大幅な改修をしている最中、斜め前に同じ科目を標榜する医院併用住宅が建設され始めました。これはソフトではどうしようもない出来事です。

私が考えたのは斜め前の医院より先に竣工させ患者を呼び込むのではなく、長期的に見て(当然長期にわたりそのような状況は変わらないのですから)、斜め前の医院との相乗効果、そこの患者を当医院にも来てもらえるような考え方で建築的に考えられることを検討しました。たまたま、別予算で建物外壁全面をきれいに吹きつけ直したいとの要望がありましたので、ドクターの了解を取り、外壁はそのままにしてその予算を全額玄関廻りのグレードアップにつぎ込んだのが下の写真です。外壁は、経営にゆとりが出来ればいつでも工事のための閉院を考えないで簡単に出来ますのでそのように提案しました。
   
工事中での変更ですので設計的には大変ですし、ドクターも不安だとは思いましたが、結果的には喜んで頂きました。ただ、この方法が全ての場合に最適解とは言えないと思います。その都度、状況に応じて考えていくことが大切です。




説明文: 私の好きな深い層から取れる固めのインド砂岩をドクターにも気に入ってもらいそれを壁に使用しました。商店の玄関廻りの考え方ですが、医院というイメージを壊さないようにすると共に、余り石張り壁が少ないと取って付けたように見えますから、通行人の心理的な面から考えて石を貼り範囲を考えました。人は意外と全体を見ないものです。その証拠に2階部分の外部は余り記憶にないはずです。後ろ側は既存のままの外壁です。竣工後、確か2年程度後に吹き直されました。
デザインの良い美しい建物がより良いことは当然ですが、それよりもその建物建設、あるいは、改修により先生方が気持ちの上で、より仕事に対して積極的になり、その気持ちを建物が、その後の改修含め受け止めることが出来、良い意味で経営にも反映し、先生方と良い関係で歩み続けられる建物を提供できればと思います。


私が目指したいのは、先生方にそのようなコンサルができる設計事務所です












 D.その他資料コーナー 


a.当事務所の仕事への取り組み方





新築建物の場合にプラン決定した後、良く作成する 1/50のスタディ模型
企画の段階で荒く形を確認したい時に造ることのある 1/100の模型(白い模型が計画建物)


(1) ドクターから特に希望がないかぎり、要望された必要諸室等を単純に配置設計するのではなく、雑談をも通して先生の考え方や諸々の諸条件(立地条件、診察方法、・・・)を聞き出し、提案しながら先生と最適解を探していきます。
(2) ドクター動線、看護婦動線、患者動線等を考慮するのは当然ですが、話を聞き重要度を判断しながら設計していきます。
(3) 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造、全て設計可能ですが、希望がなければ最適な構法を検討していきます。主に予算が影響しますが。
(4) 工事会社はドクターからの指名がない場合は、原則的に2〜3社の競争入札とし、見積金額とその建設会社の技術力を総合判断しながらドクターと決めていきます。当事務所は影響する関係を避けるため決まった建設会社は作らないようにしていますので依頼する特定の工事会社はありません。その都度、最適と思われる会社、2,3社に見積を依頼します。
(5) 見積に参加する建設会社が当方にとって初めての場合は、必ず、その会社の竣工物件2件以上、工事中の物件1件を見に行き技術力を判断します。
(6) ある人の紹介でクラヤ三星堂の開業支援部署から大規模改修の依頼を受け竣工した医院はありますが、タイアップしている医療商社もありません。
(7) 打ち合わせを重視した仕事の仕方をします。特に企画プランを作成する前の打ち合わせは特に重視しています。
(8) 新築の場合、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の設備設計、構造設計は、当事務所の責任において外部の設備、あるいは、構造設計事務所に外注致します。木造の場合は、場合によって基礎のみ木造に強い構造設計事務所に依頼する場合もあります。


(9)



初期の概略の仕事の流れは
(標準的な仕事の進め方)


初めて打ち合わせを行い、1回〜数回の打ち合わせ後、企画レポート、あるいは、企画図(1/100平面図)を1週間〜10日程度で作成します。

何回かの打ち合わせと、それに伴う修正平面図、及び、企画レポートをドクターに提示し概略プランを決定します。この時点のスケッチ図は、医療器具も書き込んだスケッチを作成し打ち合わせする。



ドクターの概略プラン了解で、設計契約して頂き本格的な設計を開始します。普通は本格的な設計に入る前に概算見積用の資料を作成し、ある1社の建設会社に概算見積を依頼し予算的に大まかに確認した後に本格的な設計を始めます。

当事務所の場合、初めて打ち合わせしてから設計契約までの期間は新築の場合一般的に、約4ヶ月〜7ヶ月程度です。

改修や建直し等の工事費用の判断が難しい物件の場合は概略プラン決定後、概算見積を建設会社に依頼し、その結果でプラン等の調整をし、大まかに問題がなくなった時点で設計契約をして頂くことになります。



(10)

打ち合わせは、土日曜日、夜含めいつでも結構です。メールのやりとりと診察の昼休のみの打ち合わせのみで進めることも可能です。その場合は、当方で質問事項リスト作成して行き早口で質問し、多くの項目をドクターに即決して頂くことになります。昼ご飯が何回か抜きになる覚悟も必要になると思います。

(11)

私が特に重要と思っている実施設計図は下記の平面詳細図と矩形図です。これに大事な情報がほとんど組み込まれています。(新築の場合)

平面詳細図の例 矩形図の例


改修の場合は改修内容により当事務所の設計図の内容は相当変わります。まず、基本的に正確な設計図を事前に書いても意味がなく、はじめに概略の設計図を作成し、その後は表層の仕上げ材を解体したときに下地や躯体の状況等を見ながら、要は、工事中に現場の様子を見ながら詳細設計して行きます。現場で、躯体寸法を測量して設計することも多々あります。

テナント内装の場合は、これも工事内容により相当設計図は変わってきます。まず、ほとんどの場合、ドクターの医院開業日が概略決まっていまして時間が余りないのが実情です。素早く設計することが重要で、したがってデザイン的に組み込みたい内容は下記のように詳細スケッチを描き伝えます。


医院カウンター詳細スケッチ図の例 照明計画の例



上記のように、テナント内装の場合は照明計画は設備設計事務所に依頼しないで当事務所で行う場合もありますが、場合によっては、病院関係専門の電気設計者にチェックを依頼する場合もあります。これ以外にもコンセントやパソコンコンセント等も必ず計画します。

(12)


ドクターにとって自分の診療方法が可能な間取りや好みのデザインを当然ながら考えますが、今までの開業経験の有無や経験年数により診療方法の確立度が当然違います。それを踏まえながら建築という実際の形にするときに、実際に建物になった場合の効果、不都合等を指摘するのはもちろんのこと、特に患者サイドに立ったイメージを忘れないでドクターと話し合うことに努めてしています。

具体的な例としては

図面で見ると建築のプロでない限り、広さや実際の便利さや不便さはわかりづらいものです。先生の診察方法を聞いてその広さや動線で良いかなるべく分かるような形で確認します。

最後に、先生方の希望や、実現したときにその効果があるかどうかの検討もとても重要です。そのため、その事を先生と真摯に打ち合わせできる信頼関係を築くことも設計事務所として大切なことと思っています。やはり、建物は一方通行の打ち合わせでは良いものはできません。そのための、設計事務所としての医療知識や患者サイドから見られる目は必要と思います。


(13)

企画図のみの場合もありますが、その場合は工事等に関する問題はドクター自身が解決することになります。監理は、工事会社に始めから監理設計事務所がいることを良く理解させておいた上に、又、アドバイスも工事当初から現場を見ていないと実質的に出来ないのが実情です。したがって、企画図作成のみの仕事の場合は企画図を提出した後は余りお役には立てません。ということで、なかなかドクターには理解してもらいにくい要項ですので、良く打ち合わせして理解して頂く場合しか企画図のみの仕事は受けておりません。


b.医院設計の経験他
● 大成建設轄ン職中 :
住宅開発やマンション(小規模〜超高層まで)設計が主な業務でほとんど経験なし。
● 独立開業後    :
大成建設鰹Z宅事業本部から医院企画設計を数多く依頼され、この時代にほとんどの科目を経験する。
● 現在       : 会社からの依頼物件は、ドクターにとっての最適解を追求しにくいので現在は依頼を受けていません。営業活動はしませんのでホームページや紹介により医院設計の仕事をしています。
● 将来の目標    : 現在も住宅、医院中心の設計活動をしていますが、医院知識や経験も増えましたので建築を通した医院コンサルタントを含めた医院から中小病院までの仕事が目標です。



c.当事務所の特徴
(1) デザイン能力は大成建設且梠繧ヘ中の上以上かな?と勝手に思っていましたが自分では判断不可能。デザイン傾向含め判断はお任せいたします。実作写真にてご判断ください。
(2) 平面計画能力は昔から自分でも高いと思います。商業施設と違い医院の場合は平面計画はとても重要な要素です。設計図を掲載していますのでご覧ください。

(3)


複雑な形状や複雑で難しい条件の物件を処理する能力は大成建設時代から高いと思いますし、又、おもしろいと感じています。ただ、年齢と共に簡単な物件が好きになりつつはあります。






外観よりも実際は相当複雑なマンション
(4)




現場監理能力は一流の建設会社の現場を見ていましたし、経験も長いので十分あります。




某医院の配筋状況の監理



(5) 医院設計のための医療知識はありますので、ドクターとの打ち合わせもかなり深くでき、それを建物に反映できます。又、新しい事も調査したりして知識を得ていきますので問題はありません。
(6) 営業活動をして数多く手がけるのではなく、どことも深い関係をもたずに、一品一品(一物件一物件)依頼された物件を丁寧に仕事をしていく、職人的な手法を目指しています。
(7) 約束、言われた内容、日時に関してはかなり几帳面です。16年間の会社勤めで身に付いてしまったようです。



d.設計料に関して

 


医院の新築建物の設計料の基本は右表です。表の左側は工事請負金額、右側がその工事請負金額の時の設計料算出のための料率です。例えば、5,000万円の工事請負金額の建物の設計料は、 5,000×0.0911=約455万円になります。

医院併用住宅の場合は、住宅は一律10%ですので、それぞれの床面積で按分し設計料率を算出します。

新築の場合の支払い方法は基本的に下記です。

             設計契約時  20%
             確認取得時  30%
             工事着工時  30%
             引き渡し時  20%

改修、テナント内装設計の場合の設計料:  

改修規模がピンキリですので決まった料率はありません。設計契約前のなるべく早い時点で、その物件内容を考慮して設計料を提示致します。

一般的には 35万円程度 〜 請負工事金額×20%程度と考えています。

今までの実例は  120万円 〜 300万円(消費税込み)程度
改修設計の設計料金は、2回から3回に分けての支払いになります。

(重要)仮に、設計契約前に何らかの理由で中止、あるいは、当事務所ではうまく対応できなくて(実情は予算的なことがほとんどですが)中止、あるいは、他への依頼になった場合は、設計料金の請求は一切ありません。

但し、設計コンペや、当事務所以外にも同時期に設計依頼される場合は、最初に話し合いをさせていただき企画設計料を決めさせて頂きます。不調の場合に設計料金をいただかないのは、当事務所に依頼する予定で仕事をさせて頂いた場合です。当事務所で良いかどうかの判断材料は事前に前向きに提出致します。




e.参考資料1: 工事費

当事務所はタイアップした工事会社は一切ありませんので、下記は一般的な予想数値で物件ごとに違うことをご了解ください。又、外構工事等は別ですし、設計料も別です。建物本体のみの工事金額と考えてください。


(1)新築の場合   :

鉄筋コンクリート造:85万円/坪 以上(杭なしと仮定)
鉄骨造       :70万円/坪 以上(杭なしと仮定)
   (但し、70万円に近い数字は外壁がALC版の時の工事金額です)
木造         :70万円/坪 以上

工事金額は医院専用ビルか医院併用住宅か、地域(都心、郊外、地方)、立地条件(商店街・・・)、施工会社(一般的に良い会社ほど単価が高い)、杭の有無等々の条件により変わります。又、上記は一般的な予想金額ですので物件により上記より高い工事金額でないと不可能な場合もありますし、逆に、安い工事金額で可能な場合もあり得ますのでご相談ください。


(2)改修の場合   :


内容がピンキリで書けません。壁紙や床材の張り直しのみであれば相当安い工事金額ですし、コンクリート壁を一部壊したり、間仕切りを大幅に変更し間取りを大幅に変更する大規模改修であれば、新築の場合の坪単価に近いと思います。躯体がすでにあり内装のみの改修という感覚で考えると納得のいく工事金額ではないと思いますが、今まであった内装を取り除き、補修をして新しく内装工事をしますので実際その程度かかることが多いです。経験的にはこのような改修の場合、実際の工事金額はドクターが考えておられる金額の倍程度が多いようです。

参考に鉄筋コンクリート造の全面的な医院改修(ほとんど全ての場所を改修、改装する)で見積金額を算出した例を坪単価で提示します。個々の物件により改修内容は変わり当然それに伴い工事金額が変わりますので参考として見てください。

今までの物件から予想すると、鉄筋コンクリート造の建物の医院内部を大改修すると、

55〜85万円/坪程度

但し、壁紙や床材のみを交換するだけであれば相当安い工事金額ですし、それに一部を手直しするだけであれば、20万円台/坪で出来る可能性もありますし、改修は工事内容によって、既存建物の状況によって相当変わりますので、見積もりしない時点での工事予想は多くの場合、不可能です。


(3)テナント内装工事:


建物の状況により相当変わる可能性がありますので参考程度に下記に書きます。

一般的に、可動間仕切りを多く使用し簡単な、デザインを余り考えない内装で行う場合、医療商社紹介の内装工事会社で一般的には35万円/坪程度と思います。

当事務所で、設計・デザインし壁もきちんと造り、使用材料も吟味し、必要な場合は壁に遮音材を入れる等のテナント内装の場合は、50万円/坪程度の実例はあります。したがって、35万円〜55万円/坪程度が平均的と思います。




f.参考資料2: 医院新築の場合の一般的な工程表

上記工程表は、鉄筋コンクリート造3階建ての場合の標準的工程表です。2階建てだと1ヶ月短く、杭が生じると1ヶ月程工期が伸びます。木造の場合は、これより短い実施設計、及び、工事期間になります。
上記では企画設計期間が約4ヶ月弱ですが、今まで一番長い企画設計期間は8ヶ月程度です。
新築の場合    : 当事務所の場合、標準的には上記工程表のように鉄筋コンクリート造3階建ての場合で、初回打ち合わせから竣工まで 約15ヶ月程度です。
改修の場合    : 改修内容で相当期間が変わります。初回打ち合わせから竣工まで1ヶ月程度から1年程度ではないかと思います。但し、開業中という事ですので工事期間は極力短くなるように配慮します。          
テナント内装の場合: 初回打ち合わせから竣工まで 5,6ヶ月程度と思います。開業日が概略決まっていますので相当なスピードで対応することになります。工事期間は、標準的には3週間〜1.5ヶ月程度で、工事内容、既存建物の状況により変わります。




g.参考資料3: 医院設計、工事を依頼する先は?



一般の内装業者:

テナント内装、改修の場合に依頼先として考えられます。医院は特殊な部分とともに商業建築と違い合理的でなければ機能しない面があります。建物の躯体関係に知識がない業者が多いのでしっかりした内装業者でない限り、又医院知識のある設計事務所がついていない限り避けた方が良いと思います。ひどい業者もありますが、その場合、どんな優秀な設計事務所がついていても1日中現場にはいれませんので問題が生じる場合が多いと思います。

医院が主な業務の内装業者:

テナント内装、改修の場合に依頼先として考えられます。クラヤ三星堂等で紹介してくれる内装業者等はこの部類です。今までの経験ですとデザイン的には余り期待は無理なようです。但し、そこそこの価格で余り問題のない内装を提供してくれますので、ごく一般的な医院をリーズナブルな価格で考えられている場合は良いと思います。但し、医院的な知識は普通よりありますが、建築知識は建設会社等と比べてありませんので、少し難しい改修、改築工事への依頼は避けた方が良いと思います。

工務店、建設会社:

規模がピンキリで、施工技術もピンキリです。会社全体として内装業者よりも建築の一般知識はありますが、小規模の会社ほど医院建築の経験のある業者の方が一般的には無難です。設計部隊が内部にいる会社もありますし、いない会社は外部の設計事務所に依頼しますが一般的には依頼される設計事務所のグレードは余り良くないと思います。又、図面だけの対応ですのでドクターの相談相手にはなりません。普通は、ドクターとの打ち合わせには出てきません。いわゆる黒子役です。大手建設会社ですと清水建設が病院建築では有名ですが、医院規模で医院建築を前面に押し出している小規模の建設会社はあるようですが実情は分かりません。

住宅メーカー:
大手住宅メーカーであれば、医院専門部隊がいるようですが余りグレードが高いわけではありません。木造やそのメーカーの商品の構法であれば余り問題はないと思います。鉄筋コンクリート造や特殊なもの、難しいものの場合は避けた方が良いかも知れません。相当昔から医院建築に積極的にしているのは三井ホームです。医院セミナーも積極的に開催しています。デザイン的には、当然そのメーカーの商品デザインの範疇になります。

設計事務所  :
ピンキリです。アクロバット的な、作品を造るような事務所もあれば、堅実な設計の事務所も、打ち合わせ以外何もしないで部外の設計者に依頼して営業のみする設計事務所もあるようです。医院知識もピンキリです。大病院を得意とする著名な設計事務所もありますし、医院から中規模病院までを得意とするある程度の規模の設計事務所も数は少ないですがあります。医院知識がない事務所でも、しっかりした事務所は勉強して良い建物を提供してくれると思います。何でも初経験は必ずあるはずですから。私が所属する世界ですが、ドクター自身が確認し判断される以外にないと思います。無責任な発言とは思いますが。

例えば、医院としての機能性や合理性は無視しても奇抜な医院にして後は何とか自分たちが使いこなそうと言うのであれば、そのような設計事務所もありますから探して依頼すれば良いと思います。但し、竣工後、問題が生じてくる確率は高くなりますのでその覚悟は必要です。内装業者の設計程度で良ければそのような設計料の安い設計事務所もあります。設計料も色々です。デパートやスーパーではなく、設計という小さな専門店で、小さな街の専門店のようなものから青山のようにしゃれた街にある専門店のように色々な意味でピンキリあると言うことです。









医院設計業務範囲、業務エリア
ご挨拶・プロフィール
序.医院設計で思うこと
A.実例での当事務所と他社設計との設計比較
B.設計図面による解説コーナー
C.私の医院設計、改修設計の考え方
                     

Da.当事務所の仕事への取り組み方
Db.医院設計の経験他
Dc.当事務所の特徴
Dd.設計料に関して
De.参考資料1:医院建物工事費
Df.参考資料2:医院新築の場合の一般的な工程表
Dg.参考資料3:医院設計、工事を依頼する先は?








 医院・病院・住宅建築コンサルティングホームページ 

2007.3月より、最近必要性を強く感じ新しく挑戦する、医院・病院・住宅建築専門のコンサルティング業務のためのホームページ

 住宅設計ホームページ 

住宅設計専用のホームページ。中に木造住宅を例に取り、どのように考え、設計し、どの程度の仕様、工事費用でもって完成させたかを簡単に解説したコーナーもあります。